ネットフリックス配信中のインドネシア映画【フォトコピー】のあらすじネタバレ・感想をまとめています。
ネタバレを多く含んでいますのでネタバレしたくない方はご注意下さい。
参加したパーティの写真が流出したことで、奨学金を打ち切られてしまったスーラは、誰が写真をSNSにアップしたかを調べるうちに自身の身に起こったおぞましい事実を知る…。
この映画は、第26回釜山国際映画祭、2021年インドネシア映画祭で数々の賞を受賞しています。
監督であるレガス・バヌテジャさんは、2016年の短編映画『Prenjak In The Year of Monkey 』で、カンヌ映画祭で賞を受賞した最初のインドネシア人監督です。
監督 | レガス・バヌテジャ |
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製作国 | インドネシア |
放映時間 | 2時間10分 |
ジャンル | サスペンス・ヒューマンドラマ |
キャスト | シェニア・シナモン(役:スール) チッコ・クルニアワン(役:アミン) ジェローム・クルニア(役:タリク) ルテシャ(役:ファラ) ジュリオ・パレングアン(役:ラマ) |
『フォトコピー』あらすじネタバレ
パーティー
奨学金で大学に通うスールは、演劇サークル:マタハリのウェブサイトの管理を任されていた。
マタハリの演劇は高い評価をされ、京都で行われるアジア学生演劇祭に参加できることになった。
これを祝してマタハリのメンバーは、メンバーであるお金持ちの家の息子ラマの家で、パーティーをすることになった。
芸術家であるラマの父親が Web デザイナーを探しており、スールが作るウェブサイトのデザインが気に入っていると聞き、スールは喜んでパーティーに参加した。
パーティードレスに着替えたスールは、父親から肌を露出しすぎだと叱られ、ドレスの下にTシャツを着て出かけた。
友人のアミンを同伴しパーティーに出かけたスールは、ラマの父親と仕事の話ができたこともあって上機嫌になりお酒を飲んだ。
パーティーをひとしきり楽しんだスールは、気が付いたら自室のベッドの上で寝ていた。
パーティーの写真がSNSに
この日は奨学金の審査の面接があり、寝すぎてしまったスールは、ドレスのまま慌てて面談に向かった。
面接会場には、以前マタハリの写真担当だったが担当を外されたという女生徒ファラがいて、遅刻してきたスールのことを呆れて見ていた。
成績も出席日数も奨学金を受けることに問題のなかったスールだったが、奨学金の受け取りを却下されてしまった。
誰かがスールのパーティーの写真を SNS にアップしたことで、品行方正ではないと判断されたためだった。
奨学金が却下され、授業料を払わなくてはいけなくなったことに怒る母親。
父親は、パーティーの夜泥酔して男に送ってもらったスールに怒り、家から追い出してしまった。
Tシャツの謎
トイレで着替えようとしたスールは、ドレスの中に来ていたTシャツが後ろ前反対になっていることに気づいた。
スールを送り届けたのは誰かと、マタハリのメンバーに尋ねるが、大した情報を得ることができなかった。
ツールはアミンが勤める店に行き、ネット上に投稿された写真を探しまくった。
そしてアミンの職場の2階を間借りし、アミンの店に来てネットを利用する学生の携帯をハッキングして写真を抜き取った。
タクシーの謎
ハッキングして手に入れた写真とは別に、スールをタクシーに乗せたという女学生アングンの情報で、スールを送ったタクシーが1時間以上も余分にかかったことを知った。
スールとアングンは、タクシーの運転手ブルハンに話を聞きに行った。
ブルハンは、スールを送る途中ケンディル公園でタイヤがパンクしたと言い、スールに声をかけたが、起きなかったのでそのまま交換し時間がかかったのだと説明した。
タリクの謎
スールはハッキングして手に入れた写真を調べるうちに、タリクという名の男子生徒が薬を隠しもっており、キッチンにこもった後、スールに色の違う酒を飲ませていたことを知った。
スールは、酒の中にタリクが薬を入れたのではないかと疑い、学校に報告した。
タリクに薬を盛られたと訴えるスールのために、ラマの家の防犯カメラでパーティーの様子を確認しようと集まったマタハリのメンバー。
結果、タリクはスールの酒に薬をいれていなかった。
薬はタリクがセラピストからもらったもので、姿を消した1時間は1人で泣いていたのだった。
防犯カメラの映像には、酔って自撮りをしているスールの姿と、泥酔したスールがタクシーに運ばれるまでの様子が映されていた。
呆れたメンバーが行ってしまっても、防犯カメラのチェックを続けるスールにラマの両親は同情し、Webデザインの仕事以外にも学費を援助すると言った。
スールは防犯カメラの映像から4杯目で気を失ったことを確認し、アミンの部屋に戻ったスールは酒を飲み試してみたが、何杯飲んでも酔って気を失うことはなかった。
銅像の謎
次の日、スールとアミンは、タクシーがパンクしたというケンディル公園に行った。
公園にあった銅像を見たスールは、ラマの携帯の中に同じ銅像の写真があった事を思い出した。
パーティーの後、演劇に使う天の川を撮影すると言って外出したラマが、ケンディル公園にいたのではないかとスールは思った。
舞台セット
次の日から、タリクは演劇サークルに顔を出さなくなった。
スールは、メンバーの1人からラマが舞台のセットに使うために加工した空の写真が入ったファイルを送ってもらった。
パーティーの当日は雨だったが、ファイルの中の写真には星のようなものが写っていた。
別のファイルを開けると、元が何かわからないラマの作品が入っていた。
その作品を白黒にしたり反転したりしていくと、加工前の写真が映し出され、それは裸体の一部を写した写真だった。
スールは星の写真を加工したものをプリントアウトし、服を脱ぎコピー機の上に寝て背中のコピーを撮り、見比べた。
一見、空に見える空の写真とスールの背中の痣は、同じ模様だった。
引き出しの赤い魚の正体
タクシーがパンクした時に、ラマが公園にいたかを確認することにしたスール。
ラマの位置情報確認しようと、アミンに協力してもらいラマの携帯をハッキングしようとしたが失敗した。
ラマがログアウトする前に慌ててブレーカーを落としたことで、アミンのPCにラマの携帯の情報が見られる状態になっていた。
暗闇の中、ラマがアミンにストレスが溜まってひらめかないから「引き出しの赤い魚」が欲しいと言ったのを聞いたスール。
アミンの弱みを握っていたスールはアミンを脅し、鍵のかかった引き出しを開けさせた。
引き出しの中にはハードディスクが入っており、その中には大勢の学生の写真が入っていた。
アミンは、デング熱にかかった妹の治療費の為に、学生の携帯から写真のデータを盗みラマに売っていたのだった。
謝罪動画
アミンの店から持ち出したPCは、ラマがログインしたままになっていたため、ラマの行動履歴が確認できた。
ラマはケンディル公園にいたことがわかり、更に舞台のセットの模様はファラの背中の刺青だとわかった。
次の日、スールはファラに確認したが、ファラは否定してしまう。
スールは資料を作成し倫理委員会に報告し、委員は捜査すると約束した。
次の日学校に呼び出されたスールは、資料が流出したことを知らされ、そのことでラマが名誉毀損でスールを訴えるつもりだと聞かされた。
スールの両親が呼び出されラマに詫び、スールは穏便に済ましてもらうために、謝罪の動画を撮らされ学校中に流された。
反撃開始
資料の写真がスールの背中の痣だと気づいていた母親は、スールが薬物を飲まされたかを検査する為にシティという名の女性の所へ行った。
尿検査の結果が出るまでシティの家にいることになったスールに、ファラから電話があった。
ファラはタリクと現れ、舞台のセットの模様は自分の背中の入れ墨だと告白した。
以前マタハリのパーティーに参加したファラは、酔って車に乗せられ服を脱がされ写真を撮られた時のこと覚えていた。
ファラは訴えたが誰にも信じてもらえず、悪い噂を立てられたためマタハリを去ったと言った。
そして、タリクもラマの被害に遭っていた。
3人は、タクシーの運転手ブルハンはラマと共犯だと睨み、タリクはタクシーに乗る為にブルハンに近づいた。
スールたちは、タリクとブルハンが話している間に、タイヤの空気が抜けていくように細工をした。
空気の抜けたタイヤを交換しようとしているブルハンの目を盗み、ブルハンの携帯を確認したタリクは、ブルハンを殴って拉致してしまった。
携帯の中にはファラやタリク、スール以外にも複数の生徒が裸にされ写真を撮られる様子の動画が収められていたのだった。
恐れ
動画を警察に持って行こうと言うスールとファラに、動画の内容が世間に流出することを恐れ反対するタリク。
タリクは、学校は金持ちのラマの味方であり、しかも写真はハッキングしたものでブルハンを殴って拉致したことで警察に捕まるのは自分たちだと怯えた。
その時、デング熱の感染者増加対策として蚊を駆除する薬をまいていた政府の車が現れ、スールたちは取り押さえられた。
車の中からペルセウスに扮したラマが歌いながら現れ、GPSで追跡していたブルハンを連れて行き、証拠となる動画の入った携帯を燃やしてしまった。
決意
証拠を消されてしまったスールとファラはコピー機を学校の屋上へ運び、メッセージと残された証拠のコピーを取って学校中にばらまいた。
被害にあった生徒達がスールとファラの訴えに参加し始める。
やがて動画が拡散されることを恐れていたタリクも参加し、多くの被害生徒の手によってコピーはばらまかれた。
コピーを手にして狼狽えているラマを、アングンが殴り飛ばす。
スールとファラとタリクは、コピー機で自分の顔をコピーした。
感想:目的にびっくり
先が読める展開かと思いましたがそうではなく、サスペンス調で不気味な部分もあって面白かったです。
何より加害者ラマの目的に驚き、おぞましさを感じました。
スールが加工されたラマの作品を元の写真に戻していくシーンは目が離せず、真実がわかった時はぞわ~っとしました。
それにしても主人公のスールの行動力の凄さに脱帽でした!
きっかけは、SNSにパーティーの動画を投稿したのは誰かを探っていたスール。
探るうちに部内で行われていたいじめや性的被害にあった生徒がいることがわかり、学校に訴えます。
しかもただ訴えるのではなく、きちんと資料を作り証拠を固めてから倫理委員会に提示します。
この強さは国柄?と思いましたが、被害者が大勢いたところをみると、皆がスールのように強いわけではないようです。
残念なことに、学校がずさんなのか、ラマ一家の手前わざとなのか、毎回スールの訴えはスールにとって不利な方向に動いていきます。
しかしスールの謝罪動画にいてもたってもいられず立ち上がったファラとタリクを味方につけることができたスール。
有力な証拠を失ってしまっても、最後まで戦います。
スールたちの行動は、今まで泣き寝入りしていた他の生徒まで参戦させ、動画が流出することを恐れて逃げ腰だったタリクの心まで変えました。
3人がコピー機で顔をコピーしたのは、逃げない、という強い意志の表れのように感じました。
性的被害の問題が描かれていたこの作品。
ウィキペディアによると、レガス・バヌテジャ監督は、性的暴行の被害者と会話を始めるなど、このテーマについて1年間調査したそうです。
ギリシャ神話のペルセウスがでてきましたが、どんな意味があるのでしょうか?
ギリシャ神話ではペルセウスがメドゥーサの首をとるのですが、冒頭の演劇では逆の表現がされていたように思います。
そして終わりの方で蚊を駆除する薬の中から現れたラマ、服を着るようにアナウンスしているなか上半身裸でペルセウスに扮して現れます。
この辺りに何か深い意味があるのかもしれません。
こう思うよ!って方がいらっしゃいましたらコメント欄から教えて頂けると嬉しいです!
